2005年2月14日

藤本さん持ってきました!

部屋にモップを投げ入れ、ホースを引きずって来た田中は元気な声をあげた
「藤本さん持ってきました!」
小川の精液を飲み込んでいた俺は田中を見て、この先にある行為の予想をある程度つける事が出来た
洗うというのは文字通り、砂埃と体液にまみれた俺の身体を丸洗いするつもりなんだろう
学校のトイレ掃除で使われるような、そのモップでだ
「よく漏らさなかったね、ちょっと残念」
俺の腹から腰を上げた石川が言った
辻の尿によって喚起された排泄の欲求は、生理的なものよりも精神的なものの方が強かった
もちろん気を張っていなければ、寝転がったまま大便を漏す事となるだろう
だが何よりも身体中に浴びせられた暴力の生傷が、より苦しかった
そもそも俺は、いつまで堪えればトイレに行かせてもらえるのだろう…
石川と入れ替わり、田中が俺の上に跨った
そしておもむろに黄色いジャージを少しだけ下げる
田中は、ふと思い出した様にように手を腰骨の位置で止め、紫のパーカーを脱いだ
隣に居た石川が甲斐甲斐しくそれを受け取り微笑みかける
「どーした?緊張してない?」
田中にかけた石川の気遣いに、藤本が手を軽く口に当てて顔を隠した
笑っているのだろうか
「イエぜんぜん平気です、それより石川さん達、順番守ってください」
毅然とした口調の田中は余裕たっぷり、というようにも見えた
だが、先輩に対するその物言いは、不安との表裏であったのかもしれない


バツが悪そうに肩をすくめて、石川は田中の上着を部屋の奥へ置きに下がった
そんな石川の背中へと謝辞を送り、田中は俺の首を挟むように床へ膝を降ろす
腰を浮かせたまま膝立ちに、黒いノースリーブシャツの裾を引っ張り、お腹からジャージの中に手を突っ込む
もぞもぞと小さく弄るような動きの後、ギンギンに勃起した田中の一物が顔を出した
お世辞にも、標準並とさえ言えない可愛らしい田中の一物は、それでもしっかりと赤い亀頭を露わにしていた
竿の根本を押さえるように持つ田中の表情は誇らしげだ
「可愛がってやるけんね」
シャツと一物とジャージを器用に握り、一方の手で俺の額をつかむ田中は少し震えているようだ
田中は、俺を見ているようで実は見ていない
周りばかりに意識が向いている事は容易く伝わってくる
十一人の娘。達が、自分の一挙手一投足を監視しているような、そんな緊張感があるのだろう
それにしても、執拗なまでに下腹部を隠す理由はなんだろうか
「ぁっ」
俺の顔へ一物を近付ける為に腰を降ろした拍子に、透明な粘液が糸を引きながら口に落ちた
汗にも似たその味は、俗に言う我慢汁だ
「こぼしたらいけん」
心なし肩を落として、田中が俺の唇に一物を這わした
こぼしちゃイケナイのはそれじゃないだろう
そう思いながらも、そのカウパーを舌で軽く拭き取れば一物が小さく跳ね上がる
充血した敏感な亀頭を、いよいよ咥えこもうとする俺から田中が腰を引いた

「じゃ始めましょうか」
その言葉の意味を、正しく理解できた者は一人も居なかっただろう
田中は一物をジャージの中へと仕舞い込み、立ち上がったのだ
「…え?」
石川だった
「ちょ、ちょっと何何何?何なの?いーの!?」
早口にまくしたてるのは藤本だ
「え?…え?え?えー?」
高橋も疑問を呈していたが、二人の声に掻き消されていた
「何って…洗いましょうよ…」
今、自分が何を問われているのか分からないといった表情で田中は返す
奥に居た道重は笑いを抑えられないといった様子だった
そんな道重の隣に立っていた少女が、田中を庇う様に藤本との間に割って入った
白で二本線が入ったソフトグレーの襟をなびかせるセーラー服の少女は、一気に喋り始める
「うん!この奴隷さんもそろそろ限界だもんね!ホラ藤本さん~!こぼされたらメンドーじゃないですか!このままじゃお尻も使えないし!早いトコ洗っちゃいましょー!ね?ね!そーしよー!あああ~!愛ちゃん水係り!蛇口よろしく!それから…」
異様にテンションの高い彼女に流されるように収拾された事態に、田中が何かを思い出したような素振りで手を叩いた
しかし何も言わず、ただ肩を落としてモップを力無く持ち上げる
誰とも目を合わさない田中に、セーラー服の少女が何事かを耳打ちしていた
「大丈夫です、わかってます」
田中のそんな返事が聞こえる中、一体何だったんだと釈然としない藤本が不機嫌な声で宣言した
「じゃ、始めようか」

藤本はまず、俺の髪を掴んで上体を上げさせた
手は後に拘束されたままだったが、天井から垂れ下がる鎖は繋がれず
閉じられない様に固定されている両膝で立たされ、部屋の隅にあった排水溝の上まで連行された
身体を動かすと全身各所の痛みが思い出された様に襲ってくる
打撲による痣は焼けるように熱く、自由を奪われた間接は硬直して軋んだ
膨れた腹は異様な重さに締め付けられ、肛門が震える
全身から脂汗の吹き出る俺を乱暴に引きずる藤本と石川の、手付きの全てが無感情に感じられた
俺に与えた傷など意に介す事も無い、この悪魔達に人間的な優しさなど、きっと無いのだ
そんな俺の考えを裏付けるように、藤本の手にはスタンガンが握られていた
当然その手に釘付けとなっていた俺の視線に気付いた藤本が軽く笑う
「大人しいじゃん、これ必要無かったかな?」
もちろんだ、そんな物を前に逆らう気など起こせはしない
恐る恐る頷く俺の頭を撫でながら、藤本が顔を近付けて来た
「れいな用意は?」
壁と藤本の微笑みに挟まれた俺の胸に、乾いたモップが押し付けられる
そして、ふくらはぎに当てられる突起物の冷たい感触
藤本が俺の頭から手を離したその瞬間、右足を電流が貫いた
一点を焦がすような痛みは直ぐに消える
しかし、ふくらはぎを細い針金が貫通し、刺さったまま抉られるような痛感が止まらない
藤本が放電を止めないのだ
「もう…、出していいよ」
背筋を冷たいものが走った
藤本は左足にも電流を放つ
両足を襲う初めての激痛に奇声を発し、俺の上半身が落ちた

それは全く自分の意思を介在させない、不自然なタイミングだった
破裂するような音を連続して立てながら、俺の肛門から大量の尿と軟便が垂れ流される
「あはははっ!くっさーい!」
「ホラ水!水早く!」
ホースを両手で構えた石川の要請と同時に水がこぼれ出した
「梨華ちゃん貸して」
藤本がホースを奪い、先端を潰して水圧を上げた状態で俺に放水を始める
冷水が勢い良く俺の一物に当たり、順に全身をなぞった
蛙のように開かれたまま指先一つ動かせなくなった俺の脚は、体重を支える力さえ失い痙攣している
脚だけが水の冷たさも、床の冷たさも感じない
ただ電流の痛みを反芻するように残している
床に腰を降ろせるほどの軟らかさを持たない股関節が軋んだ
だが、俺が倒れない様にと田中がモップで壁に抑えつける
内股を床に向け、不自然な形のまま自らの体重を受ける俺のスネは、今にも折れそうな角度で大きく震えていた
このままでは骨が割れる
だが、太腿から指先まで力が入らない
呼吸と同期するように尻の穴が開いたり閉じたりする感覚はあった
動け!動け!
泣きながら念じる俺の視界に、石川のハイヒールが映った
その靴は、天井を向いていた俺の脚の小指を、ゆっくりと踏んでいた
石川は水に濡れる事など何とも思っていない様子で言った
「女のコ座り…してみる?」
柔らかい、限りなく柔らかい笑顔の石川が俺の肩に手をかけて力を込めた

痛い!痛い!!痛い!!!痛い!!!!男の足じゃ無理なんだよ!!!
「れいなちゃん~ちょっと手伝って」
「あ、ハイ…って藤本さ、わっ!水冷たいですよ!」
止めろ!止めろって!
「体かたーい!ホラ、もっと股開きなさいよ~」
「あははは!オチンチンもう少しで床じゃん!れいながんばれ!」

「藤本さん水が!ダメですって!顔にばっかかけたら窒息するが、ますよ!」
「日本男児が情けない」
「泣いてるよぉ~可哀相だよぉ~」
「コイツいつまでウンチしてると?」
水遊びを楽しむ子供達のように嬌声をあげてはしゃぐ娘。達の中心で、俺の腹は相変わらず異常な音を発してその排泄活動を促進させていた
目の前には冷水に透けた石川の黒いブラジャーが揺れていた
感覚の戻ってきた両膝に、食い込んだ足枷の感触があった
俺の頭から水を被せ続ける、笑顔の藤本が居た
股を開いたまま、女のコが正座を崩して座るような態勢に無理矢理させられた俺は、排水溝に股間を密着させて小便を漏らした
全裸のままだった高橋は、道重の用意した大きなタオルに包まれて俺を見ていた
熱気に満ちたこの部屋で、俺は水の冷たさに凍えている
離れた場所から、同じく俺を見る道重の瞳は明らかな軽蔑を含んでいた
脚はまるで自分のものでは無いような、奇妙な感じがする
小川の提案は、しばらくの間無視された