2005年2月14日

いそいそとトイレへ駆け込む小川

『放課後』歌収録終了後、いそいそとトイレへ駆け込む小川。
収録前からもよおしていたので、心持ち足早に歩いていく。
それを背後から追い掛けていく影―――

個室に入り鍵を締めると、音消し用の機械に手をかざし、衣裳を汚さないよう気を付けながら用を足す。
コンコン、ノックの音が響く。
「入ってま~す」
「あ、麻琴?」
「はぁい?」
「今から一時間休憩な」
「あいよー」
「んでな、」
水を流す。個室の前でまだ何か言っているような気がしたけれど、それも水に流されてしまう。


扉を開く。押し戻される。
驚きと疑問の混じった声を出そうとした途端、唇を相手のそれに塞がれてしまう。
押し返そうとして、戸惑う。相手も衣裳のまま。
用を足したすぐ後の汚い手では触るに触れない。
ようやく唇が離され、抗議の言葉を口にする。
「何すんのさ愛ちゃん!」
「はいはい、しーっ」
「しーって」
「向き合って?後ろから?」
「………何が?」
「どっちでもいい?ほな後ろな」
「え、何が?」
背後に回られズボンに手を掛けられ、嫌な予感がした小川は、身をすくめながらもう一度尋ねる。
高橋は脇の下から覗き込むように見上げ返しながらさも当たり前かのように言う。
「何って…体位」
「へえ?」

小川が驚いて口をぱくぱくさせている間も高橋の手は順調に動き、あっという間にズボンはおろされてしまう。
慌てて我に返るが時既に遅し、腰に手は添えられ、準備万端なそれをぐいぐいと押しつけてくる。
「ちょ、待って、待ってって!」
「なんよぉ」
「む、向き合おう?衣裳汚れそうで恐いし」
「ん」
腰を掴んでいた手が放され、今のうちに逃げようかとも考えたが、その後が恐い。
向き合うと首に手が回され、濃厚な口付けが交わされる。
しばらくそれが続いていたが、視界の隅にふわりと高橋の衣裳が浮くのを見た途端急に挿入される。
「んぐっ!ぃ、たぁ…っ」
「痛かった?ごめんごめん」
悪怯れた風もない言い草に小川は少し腹を立てるが、高橋は気にすることもなくピストンを開始する。
まだ濡れてもいないのに乱暴に掻き回してくる高橋。
何をそんなに焦っているのだろう。
小川の心を読んだかのように、高橋は答える。
「今回の、飯田さん、宝塚の人みたいで、かっこえぇやろ?んで、色々…想像しとったら、な」

メンバーは皆変わった趣向の持ち主で、高橋も例外ではない。
普通なら格好良い男性や可愛い女性に対して好意を抱くものだが、高橋の場合『男装した女性』にその感情を抱く。
宝塚に興味はある小川だが、あの人達をそういった目で見ることはできない。
『この人!この人がこの衣裳で女の子みたいに泣くんよ?興奮せん?』
なんていちいちビデオを停止して嬉しそうに言われても、高橋がただの危ない人にしか映らない。
そして、対象は違うが今その状況が実現している。
余程嬉しいのか、普段ではありえない程鼻息が荒い。
隠し撮りされていないことを密かに祈りながら、もう一つの疑問を尋ねる。

「でっ、なんで、私、なのさぁ…んっ」
「飯田さん、厳しいし…麻琴やったら、不意打ち慣れとるがのっ」
「ぁ、や、中っ、ダメ、だよ?」
ぐいっと腰を送り込むスピードを早くする高橋。
きっと放っておけば高橋が勝手に事を終わらせてくれるだろう。
責任を問われてもすべて高橋に押しつけることができる。
しかしこのまま一方的に性欲を処理されただけではおもしろくない。
荒く息を吐いて抜き出された、今にも爆発しそうなそれの根元を掴む。

驚く高橋に、小川はサディスティックな笑みを返す。
小川もまた、変わった趣向の持ち主であった。
「や、イかしてやぁ」
「だーめ」
語尾にハートマークが付きそうなほど甘い声で囁くと、自分のそれを高橋に挿入する小川。
泣きそうな目の前の顔が苦痛に歪み、肩を掴んだ高橋の手に一気に力が入る。
「うはぁっ!?」
「っぁ…愛ちゃんは、不意打ち…慣れてないん、だね?」
「ぅ、ったりまぇや…あーし吉澤さんに、っ!…目付けられて、えんざ…っ」
「愛弟子、なのにね?」
そろりと肉付きのいい尻を撫で、さも残念そうに呟く小川。
反抗するように小さく唸ると、相変わらず処理できずにそそり立つそれをわざと刺激するように撫でられる。
「く、ふぅ…」
「っ、吉澤さんに、愛ちゃんにも、してもらえるように…言っとこうか?」
「ぃ、いらん!」
そっか、と今度は一瞬本当にしゅんとした顔を見せる。
その表情に疑問を持つが、急に動きだした腰の動きにその思考は忽ち隅へと追いやられる。
「本当、不意打ち慣れてないね…」

ふっふっと短く息を吐きながら、途切れ途切れに呟く。
男も女も同時に刺激され、すぐにでも果ててしまいそうなのに、根元を押さえた手がそれを許さない。
堪えきれず漏れた声が狭い個室に響き渡る。
同じように息が荒くなってきて、引き抜かれたそれと同じ硬さを保っていたそれの先端が擦り合わされる。
腕を使って高橋にもその様子が見えるよう衣裳を押さえる。
「ほら…キス、してる…っ」
「くぅぅぅう…っん!」
貪り付くように高橋は小川の唇を塞ぐ。
その瞬間、びくりと二人の体が跳ね上がり、合わさった二つのそれから同時に白い液体が溢れ出る。
唇を放し、小川の手がそれを擦って最後まで出尽くすようにしているのを見つめる。
射精が終わってもしばらく放心状態で抱き合っていたが、誰かがドアをノックする音で現実に引き戻される。
「は、はいはい!」
わたわたと慌てる小川にてきぱきと紙をちぎって渡す高橋。
小さくなったそれに付いた白い液体を拭い、ズボンを上げてもらいながら紙を取って指を拭く。
汚れた紙を流しながら衣裳が汚れていないか手早くチェックを済ませるとドアを開ける。
「お待たせしまし…た…」
「…ヒィ」
「…高橋に麻琴、二人で個室で何してたのかなー?」
にっこりと腕組みしながら仁王立ちしている、飯田。
「二人とも、仕事終わったら楽屋に残ってなさい!」
「「………はいぃ」」

『ほんっとごめん!』
「もー…よしこ後でオシオキね」
電話の相手に脅迫紛いなセリフを何度吐いても、数週間前から抑えていた欲望は満たされず。
車の中、運転手が気を使ってしまうほど後藤は不機嫌だった。
『ホントごめんって…まさか飯田さんが出てくるとは思ってなくてさぁ…』
「…もういい。そっち行くから待ってて」
『え、ちょ、ごっち』
一方的に電話を切り、シートに身を沈めて溜息を吐く。
すぐに携帯が振動し始める。
きっとさっきの相手からだ、そう決め付けて無視する。

運転手がちらちらとルームミラーで後藤を見てくる。
さっきからずっと部屋に振動音が鳴り響きっぱなしだったが、後藤は一向に取る気配が無い。
仏頂面でじっと前を見て、あえて無視しているようにも見える。
しかし、電話が鳴り出してからもう10分は経っていた。
そろそろ取ってあげてもいいんじゃないか、運転手は視線で訴えかける。
最初はそれも無視していた後藤だが、一瞬ミラー越しに運転手と視線が合い、溜息を吐くと携帯を手に取る。
チラッとルームミラーを確認すると運転手はすっきりとした面持ちで前を向いていた。
携帯に視線を戻す。しかし、ディスプレイに表示されている名前は、さっきの相手ではなかった。
慌てて電話をとる。
「もしもし?カオリ?」
『あーごっちん?やっと繋がった』
「ごめん、気付かなかった」
視線を感じ、ルームミラーを睨む。慌てて視線を戻す運転手。

『ごっちん、明日オフだったよね?』
「うん、そだよー」
『急なんだけどさ、ウチ来ない?』
本当に急だ。後藤はそう思った。しかし、今に始まったことではない。
ふと、さっきの電話でも飯田が急に出てきたせいでダメになったことを思い出す。
欲求不満は飯田にぶちまけてやろう、そう決心して小さく口許に笑みを零す。
「んーじゃ行こっかなー」
『おいでおいで』
「行く行くー。運転手さん、行き先変更で」
電話口を押さえながら飯田の家の住所を告げると、再び携帯を耳に近づける。
『もしもしごっちん?』
「はいはいー?」
『あんねー、高橋と小川もいるから』
「へ?なん」
『ユンケル買ってきなー』
「…おっけーい」
言葉を遮られ、暗黙の了解を意味する単語、『ユンケル』が出てくる。
後藤は一度ルームミラーを見て運転手が運転に集中しているのを確認してから小さくガッツポーズをした。
『んじゃ待ってるよー』
ブツッと電話が切れ、後藤も携帯をたたむ。
それから思い出したように携帯を開くが、メール作成画面を表示したまま固まる。
少し考えて画面を消すと、ニヤニヤしながら再び携帯をたたむ。
よしこも結構イイの持ってんだよなぁ、感触を思い出すように目を閉じた。

パチン、と携帯を閉じると、二人のいるリビングへ戻る。
正座したまま怯えた視線を送ってくる高橋と小川。
後ろ手はきっちりと麻縄で縛られている。
「スペシャルゲスト呼んどいたから、それまで…」
髪を後ろで束ね、高橋に近づいて囁く。
「楽しもうか、愛ちゃん」
びくんっと跳ね上がる高橋。視線を落とすと、予想通り股間が膨らんでいる。
束ねた髪を手首にはめていたゴムで縛るとズボンの上からそっと膨らみをなぞる。
熱い息を吐いて体を強張らせる高橋。
小川の視線を感じつつ、高橋に腰を上げさせ、ズボンと下着をずらす。
顔を出したそれを優しく掴むが、冷たい手との温度差に腰を引かれる。
構わずに口に含むと舌先で先端を円を描く様にゆっくりと刺激する。
「…ぁ……っ………くぅ、う……」
恍惚とした表情で控えめに声を漏らす高橋。
縛られた手がもどかしそうに開いたり閉じたりしている。
飯田はその様子を見つめながら、深く咥えこみ、吸い上げるようにして全体を満遍なく刺激していく。
堪らない、と首を振る高橋。既に目は潤んでいる。
「ぃ、いぃださ、もぉ、あ、あーしっ」
声が高くなっていく。絶頂に近づいているのがわかる。
しかし、急に愛撫を止め、髪ゴムでそれの根元を縛る飯田。
切ない視線で見つめながら、だらしなく開かれた口から声を漏らす。
「いぃ、だ、さぁん……」
泣き出しそうな顔を満足げに見下ろすと、タオルで高橋の口を塞ぐ。
それから、不思議そうに見つめていた小川の視線も、アイマスクで塞ぐ。
示し合わせたかのようにチャイムが鳴り、飯田は二人を見下ろしながら言った。
「さて、問題です。今日のスペシャルゲストは、いったいだーれだ?」

言うと、すぐに引き返す飯田。不安そうな視線が背中に刺さるが、構わず振り切る。
玄関のドアを開けるとそこには予想していた顔が覗く。
まず飯田は口に人差し指を立てて当て、静かにするように人物に合図する。
不思議そうにしていたが、部屋に上がりリビングの二人を見ると納得したように頷く。
口を塞がれた高橋に不安と恐怖の入り混じった視線で見つめられ、ぞくぞくと興奮が高まっていく。
予め用意していたブルーシートを広げる飯田。視界を塞がれている為、ガサガサという音にびくつく小川。
その間に高橋に歩み寄ると、控えめに身を引かれる。
そっと髪を撫で、剥き出しのまま我を主張するそれを掴む。
「んっ」
不意をつかれ、思わず声が漏れる高橋。身を堅くし、快感を避ける様に目をつぶる。
後ろから回りこまれ、押さえつけるようにして抱き締められる。
つぅ、と裏筋を爪先でなぞられて、身悶えする高橋。
が、飯田の咳払いが聞こえると、すぐに手が離れた。
タオルの中で荒く息が吐かれる。
「えーっと、ルール説明するね?」
どこを向けばいいのかわからなかった小川が、その声に顔を上げる。
「って言っても大体わかると思うんだけどさ。
 麻琴は高橋を犯してんのが誰か予想する。で、当たったら交代。」
「え…他にも、ゲストって…」
「うん、あともう一人」
小川の呟きのような質問に答えると、聞いてない、と視線で訴えかけてくる第一のゲスト。
まぁまぁ、となだめると、手招きをする。そっと耳元に口を寄せ、囁く。
夢見心地な視線でそれをじっと見つめる高橋だが、少し離れた位置なので会話の内容は聞き取れない。
渋々納得した様子の第一のゲストだが、高橋と視線を交えると表情が心底嬉しそうな笑みに変わった。

「さてと、じゃ始めよっか」
手が伸びてくる。身を反らしてその手を避けるが、冷たい床に倒れるとその抵抗も空しく終わった。
「あ、この上でシてね」
敷いたブルーシートをがさがさと踏んで指す。襲ってきた手が首の下に回り、持ち上げられる高橋。
ブルーシートの上に寝かされる高橋。目には涙が滲んでいる。
が、容赦なくズボンが引き摺り下ろされ、下半身が晒される。
「んんーっ!!」
楽しそうにその様子を見ていた飯田だが、ふと目をやると小川は難しそうな顔をしている。
「あー…実況した方がいいかな?」
「はい、お願いします…」
「よしよし。んじゃキャスターカオリが実況生中継でお送りしまーす。
 今高橋はズボン全部脱がされて…えー、ゲストは?…太股舐めてますね」
耳を澄ませば高橋の暴れる音に混じって確かにぴちゃぴちゃと聞こえてくる。
状況がわかって安心するが、すぐにその音が止み、飯田の実況も止まってしまった。
声のした方をじっと見つめると、しょ気た声が返ってくる。
「…うるさいってさ」
「………」
唯一の手掛かりが即封じられ、小川は少し肩を落とす。
その肩に手が掛けられて、無理矢理立たされる小川。
引き摺られる様にして歩かされると、ザラザラした感触と共に足元からがさがさと音がする。
ブルーシートに立たされていることに気付き、急に不安に襲われる。
座らされ、寝転ばせられる。隣から熱気のようなものが伝わってくる。
「実況の代わりに、カオリが麻琴にしてあげる」
耳元でそっと囁かれ、びくんっと跳ね上がる小川。
「な、何を…?」
「何って…石川が高橋に」
「へ?」
「あ」

耳に掛けられたゴムに手が掛かり、視界を覆っていた布が取られる。
ちらりと隣を見た飯田の目が小川の視線を捉えると、申し訳無さそうに笑った。
布が完全に取り去られ、顎で指された隣の二人を見る。
小振りだが形のいい胸の膨らみに舌を這わせながら、硬くなり上を向いたままの高橋のそれを扱いている。
上の服は捲り上げられ頭も通されて縛られた手首で所在を無くしている。
石川は愛撫に夢中、高橋はじっと石川の動きを見つめていて、じっくりと観賞していても気付かないらしい。
二人は一度顔を見合わせると、にやっと笑って視線を戻した。

潤んだ二つ瞳がじっと石川を見つめてくる。
妖しい笑みを返すと扱いていた手がゆっくりと外される。
諦めたように目を閉じる高橋。
そっとズボンのファスナーを下げると、待っていましたと顔を出す。
両足を持ち上げると、高橋の勃起したそれがお腹に食い込む。
裏返したカエルのような格好にすると、左手で照準を定める。
入り口に先端が触れると、ピクッと高橋が顔を上げる。
足を肩で抱き、腰を沈めていく。前戯のお陰か少し太めのそれも簡単に入っていった。
「…ん………っ…んん……ぅ…」
力を入れれば痛くなることはわかっているが、どうしても強張ってしまう体。
できるだけリラックスできるよう、何度も荒く息を吐いている内、動きが止まる。
全部入ったのか、安心して息を吐いて薄く目を開く。
涙でぼやけた視界の中、石川の顔が映り、口元の笑みに気付いた瞬間、
一気に腰を叩きつけられ、先端が子宮を抉る様に突き上げた。
「んむぅぅうううう!!!」

メゾソプラノの悲鳴が響き、石川は嬉しそうに口を歪ませる。
恍惚とした表情を浮かべながら、指先で高橋の輪郭をなぞる。
それと同時に腰が大きく引かれ、高橋は次に来る衝撃に耐える為ぎゅっと目を閉じ体を強張らせた。
が、しばらく待ってもその衝撃は来ない。
緊張を解かないままに石川を見上げると、目の前を手が横切る。
驚いて目を閉じると、額に指先の感触が当たる。
前髪が分けられ、恐る恐る目を開くと、石川の優しい笑顔があった。
唇が近づいてきて、そっと瞼を伏せる。
額に口付けられ、石川の髪から甘い香りが漂う。
高橋の体から力が抜けていく。
唇が離され、陶酔した様な瞳で石川を見上げる。
どこまでも優しい笑みを浮かべたまま、石川は再び腰を叩きつけた。

高橋のくぐもった絶叫に続き、電子音が部屋に響く。
「はいはーい」
夜中にも関わらず何度も連続してチャイムを押す来客の顔を予想しながら立ち上がる。
ドアを開けるとやはり予想通りの顔があった。
「やーカオリ」
「やーごっちん。どうぞあがって?」
「おじゃましまーす」
ウキウキと嬉しそうな後藤を部屋に上げて、ふとゲームのことを思い出す。
「…ま、いっか。」
「?何が?」
「うぅん、なんでもないよ」

部屋に入るとやはり高橋の責める様な視線が飯田を襲ったが、特に気にもせず小川の手を引く。
「はい、こっちがごっちん用ねー」
「え?えぇ?」
「壊さないでねー石川もだよ?」
「わかってるよぉ、カーオたん♪」
チャーミーボイスで返事をしながらも思い切り腰を叩きつける石川。
高橋は既に潰れたカエルのような声しか出していない。
心配そうに高橋を見つめる小川だが、頭を床に押し付けられ、
尻を突き出す格好を取らされると、一気に下半身を覆っていた布が脱がされる。
外気に触れて一瞬ぶるっと震えた肉付きのいい尻の割れ目に冷たい指があてがわれ、小川は小さく悲鳴を上げた。
気にせず侵入してくる二本の指。
石川と高橋の行為を見たことにより、そこは充分潤っていた。
ぐちゅぐちゅと音を立てて掻き混ぜると、羞恥心からか小刻みに震えながら指を締め付けてくる。
後藤はその姿に満足したように笑みを零すと、膝立ちになりもう片方の手でチャックを下ろした。
引き抜いた指に付着した愛液を中途半端に顔を上げたそれに擦り付け、今度は先端を割れ目にあてがう。
挿入に備え身構える小川。ゆっくりと腰が送り込まれてくる。
が、半分程入ったところでそれは止まった。
先程の石川のフェイントを見ていた為、緊張を解かないまま後藤の様子を見る。
後藤はぼーっと隣の行為に見入っていた。
正確には、大袈裟な程泣き叫ぶ高橋に。
「うぁああぁ!やぁ!ぃしかぁさっ!壊れるぅうう!」
いつの間にか轡は外されていて、叫びの様な喘ぎは部屋中に響いている。
しばらく唖然とその様子を見つめていた小川だが、腰に冷たい手が添えられ我に帰る。
ふと、中のそれの硬度が増していることに気付く。
「さてと、まこっちゃん」
興奮しているのか、吐息が荒い後藤。
紅潮した頬で、嬉しそうに笑った。
「いい声で鳴いてね」
脳天が揺さ振られるような衝撃に襲われて、小川は自らが脱力し切っていた事に気付かされた。

「ぅ、あぁぁ…」
乱暴にそれが抜き出され、高橋はぐったりと床にその身を投げ出した。
俯せに転がされ、縛られた手に愛液をまとわり付かせた熱いものが当てられ、高橋が握るとそれは上下に動き始める。
「ふぁあああ!!ぅああ!!」
聞いたことも無い様な叫び声に、高橋はびくっと身を震わせる。
見れば小川が押さえ付けられた上半身を無理矢理反らせ、耐えられないと首を振っている。
後藤はその姿を嬉しそうに見下ろしながらピストンを続けている。
破裂音のような音を立てながら動く腰を見て、高橋はマシンガンを連想した。
「ふふ、ごっちんのスタミナは底無しだからね…麻琴耐えられるかな?」
石川が吐息混じりに呟いて高橋は更に心配になる。
元はと言えば自分が小川を襲ったせいでこうなった為、小川は何もされなくてもいい筈なのに。
ひょっとすると飯田は攻守交代したところから聞いていたのだろうか。
小川が一方的に自分を犯し、自分が被害者だと思っているのかもしれない。
自責の念に駆られながらも高橋は何も言えなかった。
小川には申し訳ないが、自分が後藤の腰使いに耐え切れるとはとても思えなかった。
声を上げる小川を直視できず目を伏せたと同時に、熱い粘着質の液体が背中に放出される。
「うぁ、熱…っ!」
声を出す気力も残っておらず、小さく丸まってなんとか耐える。
妖しく微笑む石川を見上げ、同じようなもんやざ、と心の中で呟いた。

叩きつけられる腰の速さ、動きに、小川はすぐに絶頂へ上り詰めていく。
「うぁ、あっ、も、もぉ、ごとぅ、さぁっ」
「んー?もうイクの?」
「はぅ、はいぃ、あぅっ、くぅっ!ぁあっ、ああぁっ!!」
がくんっと腰が跳ね上がり、小川は床にへたり込んだ。
けれど後藤の動きは止まらない。
「も、無理、ごと、さっ」
「あーそっか、よしことした時まこっちゃんすぐ気絶したんだっけ」
その言葉に、霞み掛かった脳を奮い起こし、記憶を辿る。
目の前に吉澤の顔、背後からは後藤の手が伸びて小川のそれを上下に扱く。
全部いっぺんに犯され、快感が大きすぎて、耐えきれず意識が飛んだ。
「ごとーさぁ、普通の人よりちょっと出るの遅いんだよねぇ」
「ちょっとじゃなくてかなりでしょ、ごっちん」
すぐ横から声がして、見上げると真っ赤な顔をした高橋が立っていた。
後ろで石川が高橋の腰を支えている。
見れば高橋の足は微かに浮いており、股間には深々と石川の男性器が突き刺さっていた。
「あはっ、バレた?」
「バレバレだよ、アタシごっちんがイったとこ見たことないもん」
呑気に話す二人の下で、小川は高橋に視線を投げ掛ける。
が、高橋はぐっと顔を逸らしたままでいる。
不思議に思っていると急に高橋が上下に振られ始める。
驚いた顔がすぐ泣きだしそうな顔になり、開いた口から喘ぎが漏れてくる。
と思えば小川の体も宙に浮き、ガクガクと小刻みに揺さ振られる。

「あっ、やぁっ!?」
高橋の声。見れば上半身を剥き出しにされ、服は縛られた腕に引っ掛けられている。
後藤が歩き出す。近付くに連れて、小振りながら形のいい乳房やその頂点に咲く綺麗な乳首が鮮明に見えてくる。
目の前まで近寄ると、後頭部を掴まれ、頂きに顔が寄せられていく。
身を捩る高橋だが、すぐに石川に押さえ付けられる。
戸惑いながら高橋を見上げる小川。
一瞬交じった視線はすぐ高橋に逸らされる。
項垂れる小川だが、後藤に顔を無理矢理高橋の胸に押し付けられる。
我を忘れて柔らかい感触に浸るが、刺す様な視線に気付き慌てて離れる。
「麻琴、高橋気持ち良くなりたいんだって」
「なっ!?そんなこと言っ……!?」
後藤が身を乗り出し、高橋の唇を自分のそれで塞ぐ。
朱に染まった頬が恍惚とした表情に変わる。
後藤の髪が飯田の手で束ねられていた。
「だからさ、麻琴の舌テクで気持ち良くしてあげてよ」
石川が最後の一押しと声を掛けると、小川は躊躇いがちに舌を伸ばす。
「んぅ…ふ……あっ、まこぉ…」
唇が離れ、舌が先端に触れると、自然と声が漏れだす高橋。
慣れた舌使いで丹念にじっくりと愛撫する小川。
転がし、吸い上げ、甘噛みしたところで少しずつ上を向き始めていた男性器を掴まれる。
「ふぁうぅっ!」
驚いて仰け反る小川。しかし頭を包み込まれ、再び胸へと戻される。
艶かしい吐息が掛かる。高橋の戒めは取り去られていた。
麻縄を持った飯田の背中に視線で訴えかけるが、飯田は振り向くこともなくどこかへ行ってしまった。

力を入れてごしごしと扱かれ、小川はすぐにでも意識が飛びそうだった。
女の方も子宮ごと揺さ振られている様で、気を抜けば今にも崩れ落ちそうだったが、
そうすればきっと高橋が集中砲火を浴びることになるだろう。
さっきの悲鳴の様な嬌声を思い出し、自分に喝を入れて再び舌を伸ばす。
動き出した舌と素肌に掛かる荒い吐息を感じながら、高橋は小川の頭を撫でる。
唇を噛み、漏れ出しそうな喘ぎを噛み殺して、下腹部に響く衝撃に耐える。
後藤はその姿を見て、面白く無さそうに口をへの字に曲げる。
石川に目配せをすると高橋から小川を引き剥がし、掴んでいた小川の男性器の先端を高橋の女性器にあてがった。
呆然としている小川と血の気の引いた表情の高橋。
「や、む、無理ですよぉ、そんなんっ!」
「やってみなくちゃわかんないよぉ?」
嬉しそうな笑みが戻った後藤は、ぐりぐりと高橋に小川を詰め込もうとする。
「ぅ、うあっ、あぁああっ!さ、裂けるっ、やぁっ!」
少しずつではあるが、小川のそれは高橋の中へと進んでいく。
しかし、痛みに耐え切れず、高橋は小川の肩を掴んで押し戻そうとする。
小川はというと先端への圧力に歯を食い縛り堪えるだけであった。
ふと見ると、石川でさえ辛そうな表情をしている。
「ごっちん、ちょっと無理だって…」
「……ちぇ」
後藤は仕方なく小川を高橋から解放させた。

石川は荒く息を吐く高橋に挿入したまま後ろを向かせる。
肩に手を置く高橋を持ち上げ、駅弁の体位を取る。
豊満な尻肉を掴んで、もう一つの穴を強調するように広げる。
「ごっちーん、こっちなら多分いけるよー」
「え!?や、あーしそっちは」
「よーし、行けーまこっちゃん!」
「うぇっ?え、あっ」
添えられた後藤の手が勝手に狙いを定め、先端に入り口があてがわれる。
「「ぱいるだー、おーん!」」
「うあぁああぁぁあ!!」
「くぅううぅっ…!」
嬉しそうに声を合わせる後藤と石川に続き、高橋の悲鳴と小川の呻きが部屋に響いた。
大きく見開かれた瞳から、ゆっくりと涙が零れ落ちていく。
肩に顔を埋めていた小川はそれに気付くと、舌を伸ばして滴を舐めとった。
ぴくっと震えると、首筋に吐息が掛かる。
体を捻り、俯いた小川の頬を撫でる。
顔を上げる小川。目尻に涙を溜めながら、じっと高橋を見つめ返す。
小川の口が開かれる、が。
「……ふっ、ぁ、あぅっ!」
再び後藤が動き始め、その振動が小川から高橋に伝わる。
石川も腰を送り込み、高橋の中で二人のそれが肉越しに擦れ合う。
堪らず声を上げる小川。溜まった涙が頬を伝い、高橋の肩を叩く。
「んんっ、ぅ…くっ、ぐぅぅ…!」
「うぁあ!ぁあっ、ふぁっ!も、ぁ、はぅうううっ!」
一際高い声を上げ、小川は果てると同時に高橋の中にめいっぱい精を注ぎ込むと、気を失って崩れ落ちかけた。
慌てて後藤が抱き留める。乱雑にそれが抜かれ、びくっと震えた高橋の太股に小川の精液が流れていく。
そっと小川を寝かせると、後藤が石川と視線を交わす。
「ちょっと休憩にしよっか」